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門脇 正尚; 堅田 元喜; 寺田 宏明
no journal, ,
ヨウ素129(I-129)は長寿命放射性核種であり、地球環境中の全存在量に対して核実験や使用済核燃料再処理施設に起因する人為起源の存在量が9割以上を占める。放出量が定量的に評価されている物質はトレーサーとして適切であることから、I-129をトレーサーとした物質循環研究が進められてきた。降水中I-129濃度の観測から、イギリスのセラフィールドおよびフランスのラ・アーグの二つの再処理施設が大気経由のI-129の主な供給源として知られているが、これらの施設から大気中に放出されたI-129のグローバルな循環は十分には理解されていない。この循環を明らかにするには、高時間分解能で連続して観測されたI-129の大気・降水中濃度データと、大気中のヨウ素に関わる諸過程を考慮した数値シミュレーションを組み合わせた解析が有効である。そこで本研究では、大気中のI-129のグローバルな循環を支配する過程を明らかにするために、大気拡散モデルGEARN-FDMと気象モデルWRFを用いたI-129の全球シミュレーションを行った。シミュレーション結果は、日本で観測された降水中I-129濃度の冬季極大および夏季極小の季節変動を良好に再現した。また、この計算結果から、降水による除去過程がI-129の大気循環を決める重要な役割を担っている可能性が示唆された。一方で、モデルは中緯度で降水の多い夏季の大気中I-129濃度を大きく過小評価していた。これはWRFで計算された北半球の降水量が過大評価となっていたことと、大気拡散モデルに含まれる湿性沈着パラメタリゼーションに不確定性があることに起因すると考えられる。